【注意!】今回の日記は更に激しく「ネタバレ」があります。
これから映画を観ようとお考えの方は、
くれぐれも読まないで下さい。【ネタバレあり!】
本日、映画『大日本人』を観て来ました。
ハイ、2度目でございます・・・
まぁ、この映画に限らず「面白いな」と思う作品は、
割と何度も観に行ってしまいます。(弁解か?w)
今回は特に『獣』をメインに、
その他気になった部分をツラツラと書いていきます。
松本人志の作品に共通しているところですが、
その中でも特に強い傾向に「中毒性」というものがあります。
2回目の鑑賞は、デリカシーの欠片もないw
インタビュアーによる主人公の受け答えや、
部屋にあるちょっとした物・・・
例えば、超高電圧によって巨大化するくせに
テーブルの上には『エレガード』があったり、
ボロい部屋なのにダイソンの掃除機があったり・・・
等々の細か〜いところに目が行くようになり、
更に深く静かに(おかしな表現ですが)笑えるようになります。
それから「2度目ならでは」で言えば、
主人公大佐藤が「折りたたみ傘」と「ふえるワカメ」を、
『必要な時だけ大きくなるから良いよね』と応え、
それらがとても好きなところなど(笑)、
自身が巨大化することを暗に示唆していて、
2度目ならではの面白さがあります。
この点では「ビジュアルバム」に収録されているコント
「げんこつ」のように、一回目よりも二回目に見た時の方が、
一つ一つのセリフにおかしさが出てきます。
インタビューしてその人物の「面白さ」を
掘り下げていく部分は『働くおっさん』
その他、素人臭い(褒め言葉)登場人物のやりとりなども
これをイメージさせますね。
<獣について>
【締ルノ獣】
輪、成リシ腕デヲ、万力ノ如ク締メ付ケ、
要塞、城郭等ヲ抜キ去ル也
其ノ跡地ニテ産卵致ス。
是、締ルノ獣ノ習性也。
先日の日記にも書きましたが、
このCGの獣を演ずる(?)海原はるかの表情が最高過ぎます。
この獣が大日本人とのバトルの1体目にあたる訳で、
お笑い用語で言うところの「ツカミ」でもあります。
そこにこのド迫力なインパクトを誇る獣を
持ってきたのでしょう。
CGでもファサ〜と風になびくアノ『1:9分け』の
ヘアスタイルのインパクトは凄い!
しかも秋葉原の街を我が物顔で闊歩し、
ビルを輪状(!)になった腕で締め付け、
投げっぱなしジャーマンよろしく後ろへ放り投げるわけです。
(ちなみにCMにある神田川にビルが飛び込むシーンがこれです)
しかも、前述の『日本防獣局』なる施設が発行する
「出撃指令状」に記載されている通り、
ビルの跡地に産卵するわけなんですが、
この不気味さそして産卵した後の満足気な表情・・・。
しかも、産卵するってことは「メスなんかい!」って思うしw
【跳ルノ獣】
天高ク跳ネ上ガル豪脚ハ鋭ク、
盛(セイ)、盛(セイ)ト叫ビ
遊ビニ興ジル様ハ
約八歳児ノ知能ニ相当ス。
是、跳ルノ獣ノ習性也。
竹内力演ずる(?)2体目に登場する獣です。
この獣・・・
個人的にはちょっと思い入れがあります。
実は以前に所属していた所にオファーが来ていた役であります・・・
その時には台本なども無く、
企画書とも呼べないようなシノプシス(ペラペラの概要ですね)と、
その頭と一本足のみの珍妙な外見。
そしてその時はウルトラマンのような格好をしていた主人公と
戦っている所の絵コンテを見せられて、
とにかく「?」マークで一杯になったものですが
(その当時も全く内容は伏せられていた)
今、こうして完成したものを見てそのときの「?」の答えが分かり、
ここでこうして点と点が繋がったわけなのです。 (大げさだなw)
「竹内力・・・絵コンテと全然イメージ変わっとるがな!w」
みたいな、個人的にはこの『跳ルノ獣』は
違った楽しみ方が出来る獣でもありました・・・
【睨ムノ獣】
敵ヲ睨ムヤ、己ノ眼ヲ武器化シ、
伸縮自在ニ振リ回ス。
但シ、暗キ闇ニオイテハ、
瞬時ニ眠ル特徴有。
是、睨ムノ獣ノ習性也。
3体目に登場する唯一「元になる人物の存在しない」獣。
見た目も単純に不気味で、いかにも敵らしい存在です。
大きな眼球を武器化して戦う獣なのですが、
何度か大日本人に長〜い眼球を投げて攻撃するのですが、
当然外でそんなことするもんだから眼が汚れて、
すぐ側の川の水で眼を洗ったりw
眼をグルグル回して攻撃しようとして自分が目を回したりw
何ともオマヌケというか、かなり「人間臭い」獣でもあります。
(獣なのにw)
う〜ん・・・
とにかく、全体を通して言えることは、
もうムチャクチャな話でありながら、
驚くほど妙なリアリティがあることですね。
個人的に大変好感を持っているのは、
とことんリアルなキャスティングです。(もちろん獣は除くw)
やっぱり視聴率やスポンサーだとか、
その他諸々の「大人の事情」が複雑怪奇に絡み合う、
現在のTVドラマ(映画)における「疑問」の部分に
一石投じてるというか鋭くメスを入れてるというか(同じかw)
本当にリアルで良いキャスティングだと思いましたね。
そして、リアルと言えば、街並みのリアルさ。
都内で仕事をしている自分にとって映画を観た翌日・・・
空を見上げたら、本当にビルの陰から獣が出現しそうな、
妙にリアルなイメージが頭に残ってしまい、
思い出し笑いを堪えるのに必死でしたw
尾を引く笑い。
それも監督の作る笑いの特徴の一つでしたね。
今日は先日観た時よりは笑い声が起きてましたが、
それでも『爆笑』には程遠いものでした。
しかし、観終わった後からあたかも侵食されるかのように、
ジワジワと笑いが込み上げて来ました。
とにかく、この映画は監督松本人志のエッセンスが、
超濃厚に詰まった一本であることには間違いありません。
従って「拒絶反応」が出るのは必然。
以前の日記にも書いたことですが、
合わない人は絶対に観ない方が良いでしょうね。
「誰でも」楽しめる映画では無いと思うので・・・
哀愁、リアリティ、中毒性・・・
「笑い」を軸にして監督松本人志のエッセンスがこれでもか!
と、言わんばかりに濃縮された113分。
それは至福の一時でございました・・・