2007年06月23日

グズグズ弁当なオレと噴水のカレ物語




先日のある晴れた日のこと。

六本木ヒルズにて長時間仕事をした後に、
さるお方をタクシーで送るべく帰ろうとしたところ、
取引先の方から弁当を頂きました。


ホントはタクシーで送った方に対しての弁当だったのですが、
単純に持って帰るのがメンドくさかったのか(笑)
「キミ、これを持って帰りたまえよ」と、
渋い声を一言残し笑顔で帰って行きました。


そのお弁当は、
普段だったらなかなかお目にかかれないような高級そうな代物で、
いつもの自分だったら「やりぃ〜!これで夕食浮いたぜ!!」と、
つるピカハゲ丸君ばりに(古いな。笑)喜んだところだったんですが、
しかし・・・そこでハタと気がつく訳です。


この弁当を持って、
長い時間電車で帰るのは、
ハッキリ言って非常に困った問題である・・・と。


例えば、
おにぎりとかサンドイッチぐらいだったら、
カバンに入れてそのまま何の問題もなく帰るところです。

しかし、この高級そうな弁当は当然ながら、
容器がとてもカサばる上に、とても丁寧に盛り付けてあります。

従って、
無理矢理カバンにねじ込み、家まで持ち帰ったとして、
さ〜て♪いよいよ食べるべかな〜ルンルン♪と、
鼻歌まじりにパカッとフタを開ける頃には、
恐らく弁当の中身は阿鼻叫喚の様相を
呈していることは想像に難くありません。

いや、それだけだったらまだマシな訳で、
もっとコワイのは下手したらカバンの中身が
弁当から染み出たタレやツユやシル(全部同じか。笑)に
まみれてしまう恐れがあることです。


それに電車も近場の日比谷線とか、大江戸線一本で、
サックリと帰れるんだったら、そんな「強行突破」もアリでしょう。

しかし、そこから更に帰宅ラッシュ真っただ中の電車に揺られ、
あんな押し合いへし合いの中、このような弁当袋を下げて帰る訳です。


【今、この弁当を食べるべし】


自分の前頭葉から後頭葉、
海馬に至るまでの全ての脳の部分が「満場一致で」答えを出しました。

即決でした。

そうと決まれば話は早いです。
弁当袋を下げつつ食べられそうな場所を探します。

幸い六本木ヒルズは、
座るところにはこと欠かない場所なので、その点は助かりますが、
いくら座れるといっても、例えば「アドーア」の前とか、
「ヒステリックグラマー」などといったブランドショップの前で、
周囲の人目を気にしつつ食事をするという行為は、
よほどの緊急事態がない限りは出来る限り避けたいところです。


歩くことしばし。
そんなこんなで良さげな場所を発見。
早速座って弁当を食べ始めます。

目の前はガラスの面に沿って水が流れるタイプの噴水で、
涼しげでありそれと同時に夜の六本木の夜景も楽しめて、
非常に満足しつつ食べ進んでいたのでした。


と、その時、黙々と弁当を食べる自分の横に、
一人の男性がやって来ました。

彼はデジカメを持っていて、
しきりに目の前の噴水をファインダー越しに覗きこんでいました。

自分はその時、
目の前の弁当と真剣に向き合ってたので、
さして気にもとめてなかったのですが、
次の瞬間度肝を抜かれ、
思わず食べてたイカフライを吐き出しそうになりました。


その彼は、
デジカメをテーブルの上にセッティングし、
慣れた手つきでセルフタイマーにセットした後、
その噴水をバックに色々なポーズで写真を撮り始めたのでした。

ある時はクールに、そしてまたある時は情熱的に、
片足をイスに乗せたり、足をクロスさせたり、
首をナナメ45度傾け遠くを見つめるような表情をキメまくります。


その彼は例えて言うなら「銭金」で
『三十過ぎて未だにアイドルを目指してるビンボーさん』と、
VTRで確実に紹介されてそうな雰囲気の方でした。


しかし、
ここでマズいことに気が付いてしまいます。

弁当を食べるにあたって、
このままではせっかく目立たないように、
裏街道稼業でやっとたどり着いた安息の地が、
この彼のお蔭で逆に目立ってしまう・・・ということです。

そして、さらにマズいのはハッキリ言ってこの現状・・・

今この場を第三者に見られたら、

「今度銭金に出るビンボーさんとその友人(食事中)」

と、思われかねません。


食べるピッチを上げます。

元々自分は早食いには自信があって、
中学時代は常にクラスで一番でした。(しょうもない自慢だな。笑)
一般的なサイズの弁当だったら、
大体3分とかからず片付けてたので、
その時の自分を思い出し必死で目の前の弁当を平らげました。

ちなみに、このお弁当・・・
「さわらのおろしポン酢弁当」という弁当で、
普通に食べたらめっちゃ美味いんだろうな〜と思うと、
返す返すも残念でなりません。


もしもこの先・・・

それもそんなに遠くない未来に、
その噴水の彼が「銭金」に出演していたら、
ボクはきっとこのお弁当のことを思い出してしまうんだろう・・・
そう思った六本木の夜でありました。


※画像と本文の場所は関係ありません
posted by RT at 01:54| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記のようなもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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