2007年07月01日

N氏からの手紙

先日の日記にも登場した方(仮にN氏としておく)より、
届けられた言葉である。



まずなあ、何の話からしたらええかな…


ワシな、大阪の西成で生まれ育ってな、
知ってるか?西成。有名なとこや。
けったいなヤツらが仰山いてる。ワシが育ったんは特に酷い…
ワシは決してそうは思わんかったけどな、
西成でも本当に酷い地区やったんや。学校も凄かったけどな、
それ以上に凄いんが街の中や。

学校から帰る時なんか、暴動が普通に起きとる。
ニュースなんかでようやっとるパレスチナみたいなもんやね。
ほんで、ブロックの破片やらビール瓶やら鉄パイプやらが
ボンガボンガ飛び交っとる中、
血だらけになって転がってるオッサンらを
掻き分け掻き分けしながら家に帰っとったわ。
みんな元気なもんや。

学校はそりゃ酷かったで。
あんな『スクールウォーズ』みたいなん可愛いもんや。
ワシらの頃はな。
ただな、今みたいな弱い者イジメしたりな、
なんや陰でコソコソやったりとかそんなんだけは絶対にせえへん。

ワシは卑怯なこととか曲がったことが大嫌いやった。

ウチの学校にもな、
他校の悪い奴等が仰山来よんねん。
学校におる気ぃ弱い子ぉらとかな、
真面目な子ぉとかをカツアゲしたりすんねんな。

ワシは、まずそいつらを見つけてボコボコにするやろ。
ほしたら、取られた金は、ちゃんとその子らに返してやんねん。
ほんで、カツアゲしていた奴等からは、有り金全部頂くのよ。

まあ、何て言うたらええんかなあ…
「悪いことは、やったらアカンよ」言うんを教えてやる
ある意味『授業料』みたいなもんやね。
まあ罰金て言うてもええわ。


で、何でワシがそんな話したか言うとな、
ワシは今の日本の現状、全ての元凶は教育やと思てる。
これは決して学校の先生だけの問題やないで。
子供の親や、それを取り巻く全ての環境の問題や。

今、子供が…いや、子供だけやない大人もや。
ちょっと何かコケたりしたらすぐ死によるやろ。
みんな疲れた顔してその日その日を必死になって生きてる。

それがお金やったり、あるいは色んな物やったり・・・
とにかく人間が心やなくて物に「動かされて」生きとる訳や。

ほんで、ちょっと上手く行かなかったり、
失敗したりして挫けると、もうポーンと簡単に死んでまう。
こんなけったいな社会に夢も希望もあるかいな。


そりゃあワシは西成で生まれ育って、
ロクな学校も出てなければ、
定職にも就かずにヤクザな仕事しとる。
けどな、良いもん、悪いもんを見分ける目ぇは持ってるつもりや。


今の若い子ぉらには、とにかく簡単に諦めんな、と言いたいわ。

ワシをよく見てみい。
散々ボッコボコにされて血だらけになったり、
連帯保証人になってもうて億単位の借金抱えたり、
失敗を仰山して来たわ。いや、失敗の人生やったかも知らん。

でもな、そんなんでもこうしてしぶとく生きてるんやで。
笑って話せてるんやで。
それもこうして生きとるからや。


そもそもな、
ワシも便宜上『失敗』なんて言うてるけどな、
失敗とか成功なんて誰が決める?
自分の人生や。
他人の物差しで計られる人生なんて糞食らえじゃ。


空振り三振ゲームセットで、はいオシマイ、
みたいな単純な話やない。
つまずいたって泣いたって、
人生にはそっからまだまだずっと続きがあんねん。
その続きを作るのも止めるのも自分自身や。


ただな、止める言うてもな、自殺するんに正義なんてあれへん。
現実から逃げとるだけや。

自分の人生ぐらい自分で幕を引きたい?
思い上がんのもええ加減にさらせボケェ!思うね。
お前一人で勝手に生まれて来たんちゃうど。
ここまで大きなったのも、全て周りの環境のお陰や。
ええか、人間は「生きとる」んとちゃうで。
「生かされ」とんねん。

それが神やったり仏やったり、そんな小難しい話やない。
親やったり、友達やったり、
自分に関わる全てのもんのお陰で生かされとんねん。
生きるっちゅうんは、それだけのものを抱えとる言うことや。


これだけは、この先のある若い子ぉらに言うときたいけどな、
偽善でも、ええ格好しいでもない。

ただ、こんなゴミ溜めみたいなところで生まれ育って、
地べたを這いずり回って生きて来た人間を、
その目でよう見とくれ。

こんな人間でも大手を振って生きとんねん。
そんなんに比べたらどや。
何を生きることに躊躇(ためら)いがあるか。

堂々と生きたらええ。
飾らず、肩肘張らずありのままの姿で生きて行ったらええ。
生きとったらな、
人間なんて意外と何とでもなるもんや。
ワシみたいなもんでもな。


ワシみたいなもんでも生きてる。
そこんとこよう見といてくれ言う気持ちやね。今は。
少しでも「存在しとったで」言うオノレの証明のためにもね。


(談)
posted by RT at 21:40| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 夢想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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